薬剤師教育研究企画委員会
委員長　粟津荘司
（東京薬科大学名誉教授）

ファーマストリーム（以下、本会）は薬剤師生涯研修に資することを目的としています。最近は学問の進歩と社会意識の変遷により、的確で安全な医療がますます求められるようになって来ています。一方では後期高齢者保険制度に象徴される医療費削減の要請は厳しさを増しています。このような環境の下で薬剤師教育6年制が発足し、6年間の教育を経た薬剤師が恒常的に世に出てくることになりました。このことは高度な教育により得た知識が今後の薬剤師職能の遂行に必要であることが社会に認められたことを意味すると同時に、そのような職能の遂行が社会から薬剤師に期待され、ひいては義務付けられたことを意味しています。このような期待や義務を薬剤師免許取得後生涯にわたって応えるのに、高が6年の教育で済まされないことは、絶え間ない学問の進歩、社会の変遷を考えれば明らかです。これこそが生涯研修の必要なことの理由です。ましてや現在社会で活躍している4年制のもとでの薬剤師には一層の努力が望まれることは当然です。

現実には薬剤師に医薬情報の提供、服薬指導などが望まれ、さらにはセルフメディケイションを通じた医療への参加、ひいては医療経済への貢献などまでが望まれています。しかしながら、患者への情報提供一つとっても期待にそったことをなしえているでしょうか。コンピュータからプリントアウトした印刷物を渡されただけ、あるいは電気器具やコンピュータソフト購入時の店頭における説明の方がはるかに詳しく、的確であったことを経験しているのは筆者だけではないでしょう。もちろん、処方調剤における説明にはそれなりの制約もありますし、時にはくだくだしい説明などは求められない局面もあります。だがそれこそ臨機応変、人を見て法を説けであり、学問知識だけではない、広い教養や人間観などが必要とされる局面と言えるでしょう。従って薬剤師が生涯わたって勉強しなければならない領域は多岐にわたります。いやわたり過ぎるのかも知れません。それ故、勉強しようと思っても現実に勉強するべき知識は一体どこに書いてあるのだという事にもなります。何を勉強するのか、どう研鑽を積むのかと悩むことにもなります。

本会はこれらのことを念頭に置き、薬剤師が必要とする学問や医療知識を整理し体系づけた学習プログラムを提供するとともに、個別的話題も随時提供して、薬剤師が生涯にわたり自己研鑽し、時代の要請に応えた職能を発揮することに資することを目的としていますが、本会はそれをインターネットを通じて行うことに特徴があります。

インターネットによる学習は時と場所の制約を受けることが少なく、コンピュータがインターネットに接続されていれば、何時でも何処でも学習できるのが特徴です。コンテンツは講義形式で与えられ、親しみ易く適度のスピードで進行します。しかも講義と異なり必要とする箇所を何回でも繰り返し受講できます。講義内容は電子化されていますから、保存場所は不要です。受講者と講師との双方向性応答や、受講者間の意見交換なども将来的には可能でしょう。講義は視覚的データですので実技などの伝達も可能です。このようにインターネットという新しい手段を用いて日々新たな情報を体系的に時には単発的に随時送ることにより、薬剤師諸氏の生涯に亘る研修に資し、ひいては国民の医療の向上に資することが本ファーマストリームの目的であるとともに喜びでもあるのです。